ルービッククロックの公式ルール

ルービッククロックは他の公式競技と大きく異なるので、ルールも一部異なるところや、特記事項があります。ここではそれについて紹介します。
(ここではスクランブル記号やスクランブルの方法については述べません)

パズル本体について

3h4) For Clock, custom “inserts” (the same shape and size as the traditional paper inserts) are permitted, at the discretion of the WCA Delegate. The inserts must have a clear indication of 12 o’clock that matches the original inserts.

3h4) クロックについては、カスタムの「挿入紙(従来の挿入されている紙と同じ形・大きさのもの)」が WCA 代理人の判断によって許可される。挿入紙にはオリジナルと一致する12時を示す針が明確になければならない。

クロック内部の紙を自分でカスタマイズしたものに変えても良いとのことなので、いわゆる「痛クロック」を作って公式競技で使うことが可能ということです(日本でそれをやっている人はまだ見たことはありません)。
ただし、完成状態がはっきり分かるように12時を示す方向が分かることと、事前にDelegateに確認をする必要があります。

また、レギュレーションでは、ピンの軽さ・重さについては決められていません。あまりメンテナンスされていないクロック(魔表)だと、本体を横にしただけでピンが落ちてしまうことがあるのですが、これはレギュレーション違反とはならないようです。世界記録をだしたYunHo Namのパズルもその状態だったそうなので、慣れれば解くのに支障はないのかもしれませんが、スクランブラがすごく苦労します(実際私は2012年アジア大会で指摘され、パズルを変えました。今思えばその必要全くなかった)。

完成状態

10h1) The solved state of Clock is when all eighteen inner clock faces point to 12 o’clock.

10h1) クロックの完成状態は、内部の18の時計の面が全て12時を指している状態である。

すべての針が同じ方向を向いているだけではいけません。すべて、12時(上)の方向を指していないといけません。これは意外とまるっきり真反対(6時の方向)に揃えてしまうことも稀にあるので、競技者もジャッジも気をつけないといけません。

競技の進め方

F1) Standard speed solving procedures are followed, as described in Article A (Speed Solving). Additional regulations that supersede the corresponding procedures in Article A are described below.

F1) 基本的な流れは A 条(スピード競技)に準じる。A 条の対応箇所にとってかわる追加規則は以下の通りである。

インスペクションは15秒、それを超えてしまった場合には+2秒のペナルティ等、基本的なルールは他の競技と一緒です。

F2) The judge places the scrambled puzzle onto the mat in a standing position.

F2) スクランブル後、ジャッジはパズルをスタックマット上に立てて置く。

これは重要です。ジャッジは、パズルを「立てて」おかないといけません。一度でも倒してしまうと、ピンの向きが変わってしまうため(ピンの向きもスクランブル状態に含まれる)、スクランブルのやり直しとなります。十分注意して下さい。

F3) At the end of the inspection period, the competitor places the puzzle onto the mat in a standing position. He must not change the positions of any pins from their scrambled positions before the beginning of the solve. Penalty: disqualification of the attempt (DNF)

F3)インスペクション後、競技者はパズルをスタックマット上に立てて置く。ソルブ開始前に、スクランブルされた状態のピンの位置を変えることは許されない。罰則:失格(DNF)。

インスペクションをしたあと倒してピンの位置が変わってしまった場合、DNFとなります。
また、スクランブルをしたときやジャッジがパズルを持ってくる途中で、ピンが中途半端に押されて裏と表どっちにあるべきなのか分からなくなってしまっていることが稀によくあります。この場合、そのまま試技を始めず、スクランブルのやり直しを要求することをおすすめします(勝手に判断してピンをどちらかに押し込んではいけません)。

完成状態の確認

A6g+) [ADDITION] While he is determining whether to assign a penalty for misalignment, the judge should not touch the puzzle.
Exception: For Clock, the judge will usually need to pick up the puzzle to verify both faces.

A6g+) [追記] ジャッジがパズルのずれに対してペナルティを適用するかどうかを決定する間に、パズルに触ることは許されない。
例外:クロックに関しては、通常ジャッジは両面を確認するためにパズルを持ち上げる必要がある。

競技をしたことがない人がジャッジをするときに、一番迷う点です。ルービッククロックは、表と裏がすべて揃って初めて完成となり、表が揃っていても、裏が揃っているかは見てみないと分かりません(競技者は揃っているはずだとなんとなく分かりますが、やっぱり見てみないと分かりません)。その確認は、ジャッジがする必要があります。完成状態を確認するのに、唯一ジャッジが触っても良いパズルです。ジャッジが裏を確認せず記録用紙にタイムを書こうとした場合は、裏を見るように促して下さい(だいたい忘れています)。競技者が自分で裏返してはいけません。

また、もうひとつ重要な点があります。それは、ルービッククロックは、完成状態によるペナルティが存在しないことです。WCA Regulations 10f に、それぞれのパズルの許容できる完成状態が定義されていますが、ここにはルービッククロックが記載されていません。つまりルービッククロックには、「完成」か「未完成」かの2つしかなく、「未完成」の場合はすべてDNFとなります。例えば、片面の右上の針が1目盛りだけズレている状態だとしても、これを直すためには最低2手動かす必要があり、ルービッククロックに関して言えば、「あと1手」という状態を定義するのが非常に難しいためだと思われます。