社会人がスピードキューブを続ける意味について

※このページは、「Speedcubing Advent Calendar 2014」(http://www.adventar.org/calendars/620) の企画として執筆したものです。
またテーマ上、現在大学生の方々(または社会人になりたての方々)に向けた書き方となっています。

 近年、東京大学ルービックキューブサークル(TRCC)や京都大学スピードキューブサークル(KUbers)を筆頭に、スピードキューブは大学でのサークル活動の一部となり、日本のスピードキューブ界の主力は大学生であると言っていいと思います。
 では現在大学生である方たちが、社会人になったあと、果たしてスピードキューブを続けるのだろうか?という疑念(心配)があります。

  • 社会人になったら時間がないからキューブはできない
  • サークルとしてやっていただけだから、大学を卒業してしまえば特にやる気はない

 そんな声をちらほらと聞きます。
 私はキューブ自体は学生時代から細々としていましたが、実際にスピードキューバーとして大会に出場し始めたのは、就職し関東に上京してきてから(2009年、25歳くらいから)です。
 現役社会人キューバーとして、私が考える「社会人がスピードキューブを続ける意味」についてまとめてみました。

「社会人は時間がない」は本当か?

 私はこれは、多くの場合「嘘」であると考えています。確かに、大学生のときよりは自由になる時間は減ります。しかしそれは、大学生に時間がありすぎるだけです。
 みなさんも高校に入るまでは、朝起き、毎日同じ時間に学校に行き、夕方遅くまでずっと授業を受け、人によっては部活動をし、夕方~夜に帰宅するという生活をしていたはずです。
 大学生から社会人になるということは、その生活に戻るというだけのことです。
 むしろ社会人には、数ヶ月に一回の定期テストもありませんし、週末に宿題もありません。

 社会人にも、趣味を持っている人はたくさんいます。
 それはスポーツかもしれませんし、旅行かもしれませんし、もっと何か別なことかもしれません。
 私の父親はかなりの仕事人間ですが、とにかくスポーツが好きらしく、昔からバレー、ゴルフ、卓球と平日夜や週末に楽しんでいました(どうでもいいですがそのスポーツ好きは子供達には誰一人引き継がれていません)。
 仕事で成功している人間ほど、自分の時間を大切にしているというのもよく聞く話です。
 私はその数ある趣味の中の一つとして、スピードキューブを選択しているだけです。

社外の人間関係

 会社員として会社で働いていると、たとえ数百人規模のプロジェクトや部署に所属していても、日々の仕事で直接コミュニケーションをとるのは数人程度です。また、一緒に仕事をする人たちはもちろん同じ職種の方達ですので、少なからず似たタイプの人たちに偏ってしまいがちです。
 キューブをしていると、本当にたくさんの人と出会うことができます。年齢層も、小学生からお年寄りまで、様々です。そして、キューブ関連で知り合う方々は、総じて(言い方はかなりあれですが)『質が高い』と率直に感じます。
 スピードキューブをするのに、頭の良さや、学力は全く関係ないと断言できますが、やはり最低限、「ルービックキューブを解く」という世の中の99.9%の人が諦めていることを、クリアしている人達です。
 キューブに全く関係ない話をするだけでも、お互い得ることは多いなと常々思います。

年下(大学生)との交流

 これは先ほどの「社外の人間関係」と通ずるところですが、社会人になってから、大学生と普通に遊んだり、飲んだりする機会があるというのは、結構特異なことです(単純に私がそういう人達と遊びすぎなんじゃないかという話は置いておいて)。
 社内の人と話をしていても、だいたいは昔の同級生、または会社の同期や先輩後輩といった人間関係がほとんどで、私が大学生と遊んだりしていることを話すと驚かれます。

海外での大会参加

 私は2012年アジア大会(香港)、2013年世界大会(ラスベガス)と、過去に2回海外での大会に参加しました。
 大規模な国際大会なだけあって、どちらも日本人キューバーと一緒に現地へ行き、行動を共にしていましたが、中には単独で海外の大会に乗り込む人もいます。
 海外に行く機会というのは、普通は旅行か仕事かくらいしかありません。さらには家族や恋人以外の、数人の友達と一緒に海外へ、なんていう機会も、なかなかないのではないかと思います。
 私は英語は全くと言っていいほど話せませんし、スピードキューブをやって、これらの大会に参加していなければ、もしかすると今でも一度も海外に行っていなかったかもしれません(実際には仕事で行かされましたが)。
 スピードキューブには(今のところ)予選会というのもないので、やる気(とお金と時間)があれば、誰でもアジア大会にも世界大会にも出場できることができます。
 こんなに国際大会との距離が近いものというのも、なかなか無いのではないかと思います。

まとめ

 色々と書いてきましたが、結局私が言いたいことはひとつだけです。それは、

  「社会人になっても、趣味のひとつくらいもとう。」

 人によっては、仕事があまりに忙しすぎて、趣味になんて全く手がつかないという人もいると思います。
 仕事大好き!仕事とともに死にたい!という人ならそれでいいかと思いますが(この場合、趣味は仕事、ということになるでしょうか)、少なくとも私は、人生を仕事に捧げる気なんてさらさらありませんし、やりたいことをやって、楽しく生活をして行きたいと思っています(その結果独身生活が(ry )。
 その趣味というのは、なんでもいいのです。一般的には、野球やマラソンといったスポーツをしたり、観戦したりするのが趣味という人が多いのかもしれません。自身の家庭があるのならば、家族サービスが趣味というのでもいいでしょう。
 数多くある趣味という選択肢の中で、スピードキューブというのは、幅広い人間関係を持つことができ、その気になれば海外へ行って世界大会に出たりすることもできて、そしてちょっとだけ人に自慢できる趣味なのです。
 学生時代に手にいれた、こんなに色んな意味で「おいしい」趣味を、社会人になってから逃すなんて、なんともったいないことか。